酒は縁、造りは和。
紡いだ縁が
新たな風を呼ぶ
置賜地方の神社と日本酒、
そしてアートが出会う
〈OMIKIプロジェクト〉。
飯豊町では若乃井酒造株式会社と、
ライブペイントアーティスト
DRAGON76が
日本酒を通して互いの心を
通じ合わせ、響きあうような
一本を創出。
人の縁と和から生まれた酒と、
これからについて語った。
水は酒造の命。
渾渾と湧き出でる
自然の恵み
飯豊町で明治23年に創業した若乃井酒造。その酒造から少し歩いた場所に小さなお社がある。「このお社は若乃井酒造が仕組み水を汲んでいた井戸を祀ったもの。今はすぐそばに掘った別の井戸を使っていますが、10メートルくらい掘ると湧き水が渾渾と出てくる。良い水脈に当たっているんですね。」と語るのは、蔵元で杜氏の大沼秀和さん。この土地は、鎮守様である若宮八幡宮のそばを流れる野川の下流域にあたり、先人が井戸を掘ったところ清水が湧き出たことから酒造りが始まったという。これまでに3回井戸を掘っているが水脈は尽きることなく、飯豊山地に降り注ぐ恵みをこの地にもたらしている。
清流野川の水がつくる若乃井の味は、口当たり柔らかく飲み終わりに切れるのが特徴。「うちの酒、甘いのか辛いのかよくわからない酒なんですよ」と、大沼さんは笑う。「昔いた杜氏は”甘辛で絞れ”と決め打ちをしていましたが、私が杜氏をやるようになって、水の力でここまで切れるんだったら辛くしなくてもいいのかなと、わざと甘めに絞っています。それでも最後に切れ味が出る。甘くても飲み飽きしない酒ができるんです」。
酒造りについては何も知らなかったという大沼さんが蔵に入ったのは20年ほど前。当時は秋田から招いた山内杜氏に酒造りを任せていたが、高齢のため引退し、次期杜氏が不在になってしまう事態に見舞われ、若乃井酒造は転換期を迎えた。それまで蔵の手伝いをしていた大沼さんが杜氏となり、前杜氏に教えを請いながら手探りで酒造りを始めて、今年で7年目となる。
酒は、人を結びつける
「酒は杜氏がいないとできないけれど、それ以上に感じるのは、蔵人や農家さんやスタッフ、みんなの力を結集しないとできないということ。今、こうしていられるのは酒を通じて出会う縁を大事にしてきたからだと思います。酒造りは”和”ですね」と語る大沼さん。〈OMIKIプロジェクト〉に対しても期待をにじませている。「うちは若宮八幡宮の宮守を務めているので、年に2回は御祭りで社務所に詰めるんですが、ご祈祷した酒をつくるという発想がなかった。酒造りも鎮守様も身近すぎて結びつかなかったんですね。面白いお話をいただくことができたなと思っています」。一度は歴史が途切れそうになるかに見えた酒蔵が、原点である水の強さに回帰し、祈りを込めた酒を造る。そしてアーティストの感性がそれに呼応するように新風を呼び込むのだ。
飯豊町とNYを龍が舞う
「これはもう、龍だなぁ。水の龍神様」。酒造見学を終え、若乃井酒造の酒と水の関係について聞いた後、DRAGON76さんは呟いた。これまで見てきた映像や写真では感じることのなかった酒造独特の空気感、繊細な作業を重ねていく工程には自身のクリエイティブにも通じる何かを感じたという。自らの名前でもある「龍」をモチーフにすることへの想いを尋ねたところ、伝統的な酒造りの中に、人と自然の関わり、過去から未来へ続く永続性を感じ、これまで”共存”をテーマに描いてきた自分にとって響くものがあったと語った。
杜氏とアーティストは『特別純米酒 若乃井』の、春の生酒、夏の生貯蔵、秋あがりと雪室貯蔵をそれぞれを試飲しながら、酒と人と海外での日本酒人気についても意見を交わした。「NYでは人気ラーメン店の行列に並びながら日本酒が飲めるミニバーがあるんですけど、今はバーのほうが込み合っているくらい。みんな日本酒が大好きですよ」と、DRAGON76さんが状況を伝えると、大沼さんは最近は海外の方の嗜好が玄人寄りになってきていることに触れ、ビールサーバーに日本酒を入れて劣化させずに輸送し、より美味しく日本酒を提供できるようにする考えがあることを明らかにした。「日本酒の魅力の海外発信については、五蔵会というのをやっているのでそこで相談しながら、まずは自分でやってみたいと思っています。中途半端にするんじゃなくて、張り切ってやっていきたいですね」という大沼さん。NYでプロモーションをする際には、ラベルの龍をライブペインティングで、という楽しい企画が次々と飛び出す会合となった。
(写真:東京で再会を果たした二人)
APPLEBUM×DRAGOM76
×OMIKI
“OUROBOROS”
All T-shirt
「OUROBOROS(ウロボロス)」を、そのパッションそのままに全面に大胆にプリントしたインパクト大のTシャツ。背中にはウロボロスの説明文と「DRAGON76」のサイン、「APPLEBUM」のロゴをプリント。
APPLEBUM×DRAGOM76
×OMIKI
“OUROBOROS”
T-shirt
「OUROBOROS(ウロボロス)」のグラフィックのパワーそのままに、シンプルに胸にプリントしたTシャツ。その下にはウロボロスの説明文と「DRAGON76」のサイン、「APPLEBUM」のロゴをプリントしました。
1976年滋賀県生まれ。
ストリートアートを基本とし情熱的で生命力溢れるタッチで見る者の魂に触れるような作品を描く。
そのスタイルは常に進化し、過去と未来や、静と動、正義と悪など、相反するものの共存をテーマに作品を生み出している。
2016年からは妻、子供と共に拠点をニューヨークに移し活動中。
2017年、ART BATTLE in NYで2度の優勝。また2018年には全米大会で優勝。
映画『パシフィック・リム: アップライジング(2018年)』や『ターミネーター・ダークフェイト(2019年)』のオフィシャルのビジュアルや壁画を手がける。
2019年Amazon Prime VideoのTVシリーズ The Boysの壁画をシカゴのComplexConにて製作。
2019年6月 NYでの初個展”coexist”をブロンクスの compound にて開催。
オープニングパーティーには約400人を動員し話題になる。
【official web site】
https://www.dragon76art.com
OMIKIプロジェクトについて
やまがたアルカディア観光局では、東洋のアルカディアと呼ばれる当地域のお土産開発プロジェクトの一環として、日本独自の文化である日本酒を通して世界に当地域を発信すべく、当地域の酒蔵と世界的に著名なグラフィックアーティストがタッグを組み、地域の神社に酒造りの成功をご祈祷していただいた上で、オリジナルの日本酒を開発。観光局のお土産として販売する「OMIKIプロジェクト」を進め、世界に「SAKE」のハイブランドとして「OMIKI」を販売・展開・プロモーションしていくプロジェクトです。