新しい視点 世界を見せる まれびとを呼ぶ

アートを通して多様性ある世界をひらく
人が輝き、つながり、化学反応が起こる場所

(一社)やまがたアルカディア観光局 
戦略会議委員 吉川 明紀

白鷹町文化交流センターの学芸員で、さまざまなイベントや展示の企画運営をしている吉川明紀さん。白鷹町に残る伝統文化、白鷹町の天蚕や深山和紙の生産に積極的に関わりながら、アートの領域で、新たな視点と体験を提供しています。

-やまがたアルカディア観光局(以下、アルカディア観光局)との関わりは?

私は戦略会議委員として月に一度の会議に出席し、アルカディア地域の美しい景観の中でサウナを楽しむ「サウナ部」等の活動にも関わっています。2020年3月には、私が働く白鷹町文化交流センターで「やまがたアルカディア展~新たな自分に出逢える郷山~」という企画を行いました。アルカディア観光局での関わりも普段の仕事も、私にとっておもしろく貴重な経験なので、それを他の人にも伝えたいという気持ちで動いています。

-これまでの企画や展示で印象的だったものはなんですか?

当館の企画は来場者から「なぜ、これを白鷹町でやっているの?」と聞かれるものが多いです。アーティストやさまざまな分野の先生、コーディネーターの方々と関係性を構築し、普段の白鷹町では見られないもの、できない体験を展開できていると思っています。地域性に縛られず、人に見せるに値するいいものを提供する。年齢、性別、国籍も関係なく「参加してよかった、楽しかった」と、そこにいた人が幸せになれる場を作りたい、という願いが根本にあります。
そういった意味で、色々なものが集結し、ことが起こったなと思うのは、長井青年会議所の委員長だった時に主催した『わたしたちのまちの音、まちの色』。音楽とアートを組み合わせて新しいものを生み出したいという思いがあり、繋がりのあるアーティストに声をかけたところ、置賜に伝わる民話から曲を作ってくれました。まず音楽家たちが演奏し、子供たちが色や形をイメージして大きな布に自由に描き、民話の登場人物を獅子頭に表現してホールから芝生の広場へ獅子舞をしながら飛び出していく、という内容です。後日、即興演奏をバックにコンセプトとなった民話を語り部の会の方が語り、新しく生まれた曲に合わせて獅子舞をするという会も開きました。

-伝統文化やアートは、地域の人にとっても観光客にとっても魅力的なコンテンツですね。

内容の素敵さ以上に、普段活動している「アートキッズ団」の先生たちの主体的な協力や、外から来たアーティストたちが自ら「白鷹町らしさ」を発掘し、企画に与えてくれたことがありがたく、素晴らしく感じました。彼らは私にとっては来訪神ですよ。恵まれた関係性に感謝しつつ、私はこれからも「まれびと」を呼ぶ人でありたいです。

PROFILE

吉川 明紀(よしかわ あき)

山形県長井市出身。白鷹町文化交流センター学芸員。白鷹町観光協会理事。深山和紙の製造工程や、白鷹町天蚕の会では飼育に関わる細かな作業にも参加するなど、本質的な関わりと人間本来の心の在りようを大切にしている。