観光は一つの点から
つながる面へ

「ここでしか味わえない」
唯一の場所
置賜地域の価値を見出し、
魅力を伝えていく

やまがたアルカディア観光局
 戦略会議委員
須藤宏介

南陽市の老舗温泉旅館「山形座 瀧波」に生を受け、ゼネラルマネージャーを務めている須藤宏介さん。やまがたアルカディア観光局での活動と目指す観光の姿について伺った。

ー観光局ではどんな役割を担っていますか?

ここに生まれ育ち、南陽が大好きで、毎日来館されるお客様をご案内する中で感じる占ワクワク感クを素直に話し、メンバーに伝えています。この美しい場所を見てもらいたい、この素敵さをお裾分けしたい、というシンプルな気持ちを共有し、次の世代に「ここに生まれてよかった」と言ってもらえるようなまちづくりや、新たな価値観を踏まえた観光の形、想いが伝わるキャッチコピーなどを発案しています。

ーご自身の生業である旅館業から見える観光のポイントとは?

「山形座 瀧波」は以前、お客様のご要望に対して、いかにスマートで多様に対応できるかに注力していました。お客様には喜ばれましたが身を削っていた部分も大きかったです。続けていくことが困難になった時に、この地にある湿泉宿「瀧波」を見つめ直し、山形に特化した内容を提供することが旅館の柱になると気づきました。建物、接客、料理、すべて山形でしか味わえないものを提供するんです。それは旅館が地域に支えられて成り立つことを意味していて、観光も同じだと思いました。地域の価値を見出し、しっかりとアピールすることで観光客が増え地元の誇りにつながり、次世代へつなげることができます。旅館という一つの点だけでなく、温泉街や酒店やワイナリー、飲食店などのつながりもあるので、面でやっていくことが大事だと思っています。

ーこれからの展望や、やってみたいことは?

幼い頃、父に連れられて行った十分一山の魅力をもっと伝えていきたいですね。東洋のアルカディアが感じられる綺麗な風景の一つなので、朝食や夕食をそこでとれるようにできたらいいなと思っています。観光局としては、今は置賜地域が持っている魅力の素材を集め、それに携わる人たちをつないでいく段階。見栄えや小手先の集客ではなく、ここに住む方々の気持ちや誇りを大切にしながら、「観光」というものをとことん突き詰めていきたいです。
例えば「お祭りを盛り上げたい」と思った時、見栄えの良さや流行りを追うのではなく、地域に伝わる古いお祭りの歴史や先人の想いをしっかりつなぐことで、自分たちが本当に楽しいと思うお祭りになると思うんです。そのお祭りを知った人が「何かわからないけど盛り上がっていて楽しそう!」「ちょっと見てみようか」と、実際に足を運んでくれる。それが正しい「観光」の方向性だと考えています。

PROFILE

須藤宏介(すとう こうすけ)

南陽市生まれ。地元高校を卒業後、アメリカに留学。日本に戻ってからは旅館業の修行を積み、2017年にリニューアルした「山形座 瀧波 YAMAGATATHE TAKINAMI」ゼネラルマネージャーに。