誰かではなく
自ら第一歩を踏み出す

原石をブラッシュアップ 
置賜は宝の里
一つ一つを積み重ねて 
地域の魅力を発信する

(一社)やまがたアルカディア観光局
 戦略会議委員
堀江守弘氏

飯豊町出身で東北大学を卒業後、スウェーデンにスキー留学の経験を持つ堀江守弘さん。現在は、故郷に戻り、「スロービレッジ(飯豊町)」「シックス・ダイニング(南陽市)」の経営をしている。やまがたアルカディア観光局のメンバーの一人でもある堀江さんに、故郷への思いや観光局について伺った。

ー堀江さんが思う飯豊町の魅力とは?

力強く生きていく力がある場所だと思います。表面的には、人口や商店の減少、昔と比べ賑わいがなくなったなど、置賜の中でも最も人口が少なく過疎化の進む町だと思われるかもしれません。でも、東京では、少しの雪が降っただけで交通が麻痺し、生活が困難になるのに対して、飯豊では、たとえ大雪が降ろうが、営みが止まることはありません。きっと、自然が身近で、その厳しさも、与えてくれる恵みの大きさも知っているからなんでしょうね。ここは、生きるための豊かさを獲得できる場所なんだなと実感しています。

ー地域の魅力を発信するためにどんな活動を?

いいでカヌークラプを立ち上げた先輩から後を引き継ぎ、白川湖で水没林を見に行くカヌー体験などを企画して運営しています。また、南陽市にあるレストラン「シックス・ダイニング」では、地域の旬の食材を取り入れたフレンチを提供しています。

ー幅広い活動には、どのような狙いがあるんですか?

カヌーは、観光向けではあるんですが、むしろ地元の人たちに、実体験を通して、自分たちが住んでいる場所の価値を認識してほしいなと思って続けています。自分たちで体験して納得しないと、外に向けて発信はできないと思いますから。
レストランでは、例えば、中津川に「雪室じゃがいも」という特産品があります。雪室の中で3か月以上熟成してものすごく甘みが増したじゃがいもです。これを赤湯のレストランで提供することで、食材としての評価が高まり、飯豊に付加価値が生まれます。地域間をまたぐことで、改めて気づく価値もあるのではと思っています。
カヌーにしろ、レストランにしろ、魅力あることを分かりやすい形で伝えることが大切ではないかと思います。美しい景色も、美味しい物も、そのままでは原石です。原石をプラッシュアップして、誰かが価値を伝える必要があるなと思い、その第一歩として、一度、故郷を離れた自分だから気づける視点でやれることを展開しています。

ーアルカディア観光局に期待することは?

この組織がなければ出会えない人達と繋がることができました。同じような志を持った人達が集まったことで、新しいことが起きる兆しはあります。ですが、まだまだ組織として堅苦しいところがあり、動き出せていないことが多々あるとも感じています。恐らく、一気に変えることは難しいと思いますが、小さなことを一つ一つ積み重ねていくことで、大きな変化に繋がるであろうと、自分も含め、それを可能にする組織とメンバーであると期待しています。

PROFILE

堀江守弘(ほりえ もりひろ)

1981年飯豊町生まれ。東北大学を卒業後、スウェーデンに留学。働きながらスキー選手として活動。現在、故郷に戻り様々な事業を展開。「エイチ・アンド・カンパニー株式会社」代表取締役。