【小国町・ブナの森 温身平】旅行会社に向けたインスペクションを行いました

アルカディア活動日誌

2026年7月14日(火)

海の京都DMOのJesse Efronさん、株式会社みたての庄司さんと『ブナの森 温身平』にて旅行会社に向けたインスペクションを行いました。

森の中で、森林浴

小国町観光協会の佐野さんにガイドをしていただきながら、森林セラピーを体験。

今回は旅行会社の方に向けたインスペクションでもありましたが、実際に森を歩き、森の中で過ごす時間を体験してみることで、この場所がどんな旅をつくることができるのかを自分自身の身体で感じることができました。

温身平は、2006年に全国で初めて「森林セラピー®基地」に認定された場所で、現在も山形県内唯一の森林セラピー®基地です。2026年は認定から20周年という節目の年でもあります。

ただ森を歩くだけではない。

「森の中で過ごすこと」そのものを目的にできる場所。

今回の体験を通して、そんな温身平の魅力を改めて感じました。

小国町が「白い森」と呼ばれる理由

小国町には「白い森」という言葉があります。

小国町は飯豊・朝日両連峰に抱かれ、町域の約90%以上を森林が占める、豊かな森の町。

その中でもブナを中心とする天然広葉樹林が広がり、さらに全国有数の豪雪地帯でもあります。

小国町では、町を象徴する「ブナ」と「雪」から共通してイメージできる「白」をもとに、町全体を「白い森」と表現しています。

今回、温身平を歩いてみて、その「白い森」という言葉の意味を、初めて身体で実感したような気がしました。

曇りの日なのに、森が明るい

この日はあいにくの曇り空。

森の中に入る前は、曇りの日の森林は少し暗いのではないかと思っていました。

ところが、実際に温身平へ入ってみると、その印象はまったく違いました。

森の中が、思っていた以上に明るい。

その理由のひとつが、ブナの白い幹です。

すっと伸びる白い幹が森のあちこちに立ち、その間から柔らかな光が入り込む。

一般的にイメージする「深い森」とは少し違い、閉塞感がありません。

木漏れ日が踊るような明るい森。

森林セラピーソサエティでも、温身平は「木漏れ日に白い幹が映えるブナの森」と紹介されています。

歩きながら、

「なるほど。これが小国町の『白い森』なのか。」

と、少し腑に落ちる感覚がありました。

言葉として聞く「白い森」と、実際にその森の中に立って見る「白い森」。

やはり、現地に来なければ分からないことがあります。

「歩く」よりも「感じる」森林セラピー

佐野さんに案内していただきながら、ゆっくりと森の中を歩きます。

森林セラピーというと、森の中を歩いて健康になる、というイメージを持っていました。

しかし、今回体験してみて少し印象が変わりました。

温身平の森林セラピーでは、速く歩く必要も、目的地を目指して頑張る必要もありません。

森の音を聞く。

木々を見る。

空気を感じる。

土の感触を感じる。

木の香りを感じる。

そして、時には立ち止まる。

森林セラピーソサエティでも、森林セラピーでは五感を使って森を感じることが基本的な楽しみ方として紹介されています。

普段の生活では、目的地へ向かうために歩くことがほとんどです。

「早く着くこと」や「何かを見ること」が目的になる。

でも、この森では少し違います。

歩くことそのものよりも、歩きながら何を感じるか。

そこに、この場所ならではの時間があります。

なぜ「森林セラピー」と呼べるのか

温身平が全国初の森林セラピー基地に認定された背景には、単に「気持ちのいい森だから」という理由だけではありません。

実際に森林環境が心身に与える影響についての実証実験が行われています。

林野庁の資料では、温身平での実験により、滞在によって副交感神経が活性化し、ストレス時に放出されるホルモン量が低下したこと、また森の香りの主成分であるα-ピネンが豊富に検出されたことなどが紹介されています。

森林セラピーソサエティでも、森林浴によって唾液中のコルチゾール濃度が都市部より低下したことなど、森林浴の生理・心理的な効果に関する研究結果が紹介されています。

つまり温身平は、「なんとなく気持ちいい森」ではなく、実際の森の環境と、そこで得られるリラックス効果を科学的に検証したうえで、森林セラピーの場所として認められた森なのです。

こうした背景を知ってから歩くと、いつもの森林浴とは少し違った見方ができるようになります。

「今、森の中で身体がどう感じているんだろう。」

そんなふうに、自分自身へ意識を向けるきっかけにもなります。

初心者でも楽しめる、やさしい森

もうひとつ、実際に歩いてみて感じたのが「思っていたより気軽」ということでした。

森林セラピーという名前から、山登りやトレッキングのような少しハードなものを想像する方もいるかもしれません。

しかし、温身平のセラピーロードは自然の地形を活かしながら整備され、高低差が小さく、初心者でも楽しみやすいコースになっています。

森林セラピーソサエティによると、セラピーロードは総延長5.5kmで、メインロードは道幅が広く、なだらかで歩きやすいコースです。

今回も、急な坂道をひたすら登るような場所ではなく、佐野さんのお話を聞きながら、自分たちのペースでゆっくりと森を歩くことができました。

「山歩きはちょっと自信がないけれど、自然の中でゆっくり過ごしたい。」

そんな方にも、この場所はとても相性が良いのだと思います。

森の中で、クロモジ茶をいただく

そして、今回の体験で特に印象に残ったのが、森の中でのティータイム。

歩いて、少し休んで、また歩く。

そんな時間の中でいただいたのが、クロモジ茶でした。

クロモジは、山形でも身近な山の植物のひとつ。

森の中で、その土地の植物からつくられたお茶をいただく。

それだけなのですが、普段のカフェで飲むお茶とは、やっぱり違います。

森の音を聞きながら、ゆっくりとお茶を飲む。

時間の流れそのものが、いつもよりゆっくりになったように感じます。

「森を歩いて、観光スポットを見て、次へ移動する。」

そんな一般的な観光とは、時間の使い方がまったく違います。

ここでは、森にいること自体が旅になる。

そんな感覚があります。

ブナの幹を眺めながら、森の中でお昼寝

そして、温身平ならではの体験が「森の中でのお昼寝」です。

ブナの木の下で横になり、空を見上げる。

木々の間から見える空。

葉が風に揺れる音。

鳥の声。

普段なら「昼間から寝るなんてもったいない」と思ってしまうかもしれません。

でも、この場所では、それこそが目的です。

何かをしなければならないわけではない。

写真を撮らなければならないわけでもない。

「何もしない」という時間を、ちゃんと楽しむ。

それが、今回の森林セラピーで一番新鮮だったことかもしれません。

仕事や日常生活の中では、どうしても「何かをする」ことが前提になっています。

だからこそ、森の中で何もしない時間が、こんなにも贅沢に感じられるのだと思います。

「リトリート」という旅のかたち

今回の体験を通して、温身平は「観光スポット」という言葉だけでは少し説明しきれない場所だと感じました。

もちろん、ブナの森の美しい景色を見ることもできます。

でも、それ以上に価値があるのは、

森の中でゆっくり歩く。

立ち止まる。

お茶を飲む。

昼寝をする。

五感を使って自然を感じる。

そして、自分自身のことを少しだけ考える。

そんな時間そのものです。

これは「見る観光」から、「過ごす観光」への転換とも言えるのかもしれません。

一日だけ森に入る。

あるいは宿泊を組み合わせて、町で過ごす時間まで含めてゆっくりと自分を整える。

温身平には、そんな旅のつくり方があります。

「白い森」を、身体で感じる

今回、温身平を歩いてみて、小国町の「白い森」という言葉が少し身近になりました。

これまでは、小国町の「白い森」という言葉を、雪景色のイメージとして捉えていた部分もありました。

けれど実際に森へ入ってみると、白いブナの幹が森の中にたくさん立ち並び、曇りの日でも光が差し込むような明るさがある。

そこに雪の白さが加わる。

「ブナ」と「雪」。

小国町がこの二つから「白」というイメージを見出した理由が、少し分かったような気がしました。

地域のキャッチコピーは、言葉だけではなかなか伝わりません。

でも、その言葉を生んだ風景の中に実際に立ってみると、突然その意味が分かる瞬間があります。

今回の温身平は、まさにそんな場所でした。

森に会いに行く旅

今回のインスペクションでは、佐野さんの案内のもと、森林セラピーを体験しました。

森について詳しく教えていただきながら歩くことで、自分だけでは気づけなかったものにも目が向きます。

そして、歩くだけではなく、森の中でお茶を飲み、昼寝をする。

そんな時間を実際に体験してみると、

「森林セラピーを目的に、小国へ行く。」

という旅の形が、自然とイメージできるようになりました。

温身平には、樹齢200年を超えるブナの森やヤチダモの巨木、玉川の清流など、長い時間をかけて育まれてきた自然があります。

でも、この場所の魅力は、それらを「見る」ことだけではありません。

その森の中に身を置いて、ゆっくり呼吸して、音を聞いて、木に触れて、温かいお茶を飲む。

そして、何もしない。

忙しい毎日から少しだけ離れて、自分のための時間を過ごす。

今回の体験を通して、温身平はそんな「森に会いに行く旅」ができる場所なのだと感じました。

たまには予定を詰め込まず、目的地を目指すのでもなく、

ただ森の中で、ゆっくりする。

そんな旅があってもいいのかもしれません。

 

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■ブナの森 温見平
〒999-1522
山形県西置賜郡小国町小玉川