遠回りしても適切なルートで地域をつくる

「県民。だけどよそ者、
けど仲間」の立場から
地域住民の幸福度が
高い地域づくりを考える

(一社)やまがたアルカディア観光局
戦略会議委員
竹 直也

蔵王温泉で温泉コーデショップ「ZaoOnsen 湯旅屋高湯堂」を経営し、地域活性化に取り組んでいる竹直也さん。やまがたアルカディア観光局(以下、アルカディア観光局)の戦略会議メンバーとしても活動し、地域継承に力を注いでいる。

ー戦略会議ではどのような役割を?

アルカディア観光局立ち上げの時期、私は前職で四国や東北の観光振興や地域づくりのプロデューサーをしていました。長井市の地域づくりの事業に携わり、今あるミッションとビジョンを決める会議のファシリテーターとして関わったという経緯があります。現在は、アルカディア観光局の戦略会議や各種ミーティングで議論がよりスムーズに進行できるよう助言したり、場合によっては議題に合わせて講義をさせていただきます。

ーアルカディア観光局にはどんな想いを持っていますか?

地域を担う主体者の一人、という想いで活動しています。アルカディア観光局を設立した2019年前後に出会った方々は、地域の未来を真剣に考える熱い想いで心を満たす人たちばかりで、これからはじまる物語りにとてもワクワクしていました。アルカディア観光局が地域で取り組む、すべての根幹にあたるミッションとビジョンの決定する会議をファシリテーションできたことはとてもいい経験になりましたし、何より関わった皆さんが納得できるミッション、ビジョンになったことが嬉しいです。各分野で活躍している方々が一同に集まり真剣にイマのこと、未来のことを語り合う、私自身よそ者でありながらも地域のみなさんと同じ目線でいたいという想いが強いです。

ー地域振興で大事なことは?

地域の方々が誇りを持てるような地域づくりが大切です。地域振興においては、観光協会、旅行会社、地域の観光関連事業者、そして旅行者を主体に考えていきがちですが、地域を形成する農業、工業など様々な事業者と地域住民がいるという視点を持ち、バランスをみていかなければなりません。地域振興を観光業とだけ捉えると、地域住民の視点は抜けてしまうことが多く、オーバーツーリズムで地域住民の幸福度が下がってしまうこともあります。
ビジネス視点が過ぎると生産性云々の話になってくるのですが、地域は生産性だけでは語れません。特に東北地方は合理性では全く語れない部分が多い。観光においてはそれはむしろ良くて、遠回りしても適切なルートをたどることが、最短で目指す地域づくりができる土地柄だと思っています。ミッション、ビジョンさらにはブランドコンセプトを軸に、事業計画と行動計画がぶれないようにサポートし、3、4年目の活動につなげていけるようにしたいです。

PROFILE

竹直也(たけ・なおや)

北海道旭川市出身。株式会社リクルート入社後、蔵王温泉の観光、地域づくりに携わり、2017年に株式会社LABEL LINKを設立。2020年には蔵王温泉に賑わいを呼ぶため、温泉コーデショップ「高湯堂」をオープン。