置賜らしさを大切に その先へ
出会いを楽しみ、感じる、冒険のような旅
越境し開拓した、イザベラ・バードのように
株式会社ソトコト・プラネット 代表取締役
指出 一正
「現代のイザベラ・バード」と呼びたくなるような女性たちが置賜地域を訪れ、旅する様子を収めた短編動画シリーズ『ライク・ア・バードokitama』。監修を務めた、雑誌『ソトコト』の編集長、指出一正さんにお話を伺いました。
置賜地域と出会ったきっかけは?
僕は魚釣りが好きで山や川によく出かけます。山形出身の後輩から置賜盆地の白竜湖を中心としたエリアには淡水魚がたくさんいると聞き、1人で訪れたのが最初です。初めて行ったとき、まるで釣り大会が開かれているかのように淡水魚がいっぱいいる光景に驚きました。その後いつ行っても変わらず魚がいるのでなぜかと調べたら、広く置賜のこのエリアは、減農薬による稲作など環境への配慮が長年なされている地域だということがわかりました。土堀の水路が残されていて、生き物の循環、多様性がすごく残されている。これは素晴らしいなと、置賜の田園地帯と山間地域を好きになりましたね。私が20代の頃から約25年間、毎年必ず、夏から秋にかけて複数回訪れています。
『ライク・ア・バード okitama』を発想された理由は?
僕はもともとイザベラ・バードが好きなんですよ。本棚に大事に関連の本を置いていて「いつかNHKの朝ドラになってもいいのにな」と思ったりしながら過ごしてきました。だからすぐにバードのことが頭に浮かんだというのは、ありますね。やまがたアルカディア観光局さんは「東洋のアルカディア」という言葉を大事にされているので、そこにきちんとリンクするプロジェクトが一番いいと思いました。そこで「現代のイザベラ・バードとは誰か?」を考えたときに、それはもう「旅をする人」だけではなく、職業を超えていったり、制限されているものの先に踏み出していくような女性なんじゃないかな、と思ったんです。
『ソトコト』を通じて知り合った写真家や起業家、建築家、アーティストなど、職域を超えて未来に向かっているような素敵な女性の方々を推挙させてもらい、観光局さんと相談しながら、5人のバードが決まりました。
旅人の方々の反応はいかがでしたか?
「こんないい場所があったなら早く教えてよ」と、よく言われました(笑)。皆さん、複合的に地域の良さを見る視点を持っている方々です。置賜のそれぞれのまちの風景、人、時間を満喫し、胸が踊るような経験をされていたようでした。
置賜地域の皆さんのあたたかさ、ユーモア、コミュニケーションは僕もとてもいいなと感じています。人と自然の絶妙な共生感もかっこいい。このプロジェクトを通じて、旅人だけでなくそれを見る人も実際に置賜に足を運び、人や風景と出会い、置賜の関係人口として地域の方々と仲良くなっていけたら素敵ですね。
PROFILE
指出 一正(さしで かずまさ)
株式会社ソトコト・プラネット代表取締役。未来をつくるSDGs マガジン『ソトコト』編集長。2021 年度から小国町の委託を受け「白い森サスティナブルデザインスクール」のメイン講師と監修を務めている。