ここに暮らすすべての
大人ができること
ありのままの故郷の魅力を、
深く受け入れて楽しみ、
発信し続ける重要性
(一社)やまがたアルカディア観光局
戦略会議委員
高橋直記
東京での就職を経て故郷にUターンし、やまがたアルカディア観光局(以下、アルカディア観光局)の戦略会議メンバーとして活動している高橋直記さん。地域の魅力、次世代のためにできることについて、お話を伺った。
ーこれまでの経緯と、アルカディア観光局での現在の役割を教えてください。
私は長井市の、市街地ではなく山の麓の出身で、近所の子ども同士が本当の兄弟のように賑やかに育ちました。地域との接点が多い分愛着も強かったのか、30歳の手前で強い郷愁に誘われ、東京からUターンして今に至ります。アルカディア観光局の前身である、やまがた長井観光局の頃から、主に情報発信の分野で関わらさせていただき、設立時には戦略会議のメンバーとして、ミッションとビジョンの策定から参画。具体的な活動としては、プロモーションチーム、グルメチーム、旅行商品造成チーム、それから活動メンバーを集めて繋げる役割の、つなぐチームの活動に参加しています。
ー活動を通して感じていることは?
観光局をとりまく様々なプロジェクトに関わったことで、自分の故郷を含め、お隣の市町の魅力を改めて発見する機会が格段に増えました。今まで知らなかったストーリーや、知ってはいたけれど初めて体験するものなどが今でも沢山あって。住んでいる自分ですらそうなのだから、外の人は言わずもがなでしょう。
置賜に限ったことではないですが、どの土地にもその土地固有の文化があり、魅力があると思います。ありのままの故郷を、魅力の本質みたいな部分を、深く受け容れて、自ら楽しんで、それを発信し続けることが重要なのかなと感じています。
ー「東洋のアルカディアを子どもたちへ」というミッション達成に関わる大切な感覚ですね。
僕らが今立っているこの場所の価値を上げて、次の世代にきちんとバトンを渡すことが、観光局に関わっている人だけじゃなく、この土地で暮らすすべての大人の役割だし使命なんだろうと思っています。
流動性が無くなったコミュニティが衰退していくことは歴史が証明していて、流出自体は決して悪ではなく、問題なのは、それが長期でも短期でも、流入が極端に少ないことなんだろうと思います。
そういう意味では、このプロジェクトはいわゆる観光促進のための事業っていうような狭い話ではなく、町ぐるみで、住んでる人みんなで、何が何でも流入を増やしていこうぜ、っていうことなんだと思って参加しています。外から人が訪れて、「ここはいいとこだねー」なんて褒められるシーンが増えたら、大人も、子どもも、もっと自分の住んでいるところに誇りが持てるんじゃないかと期待しています。
PROFILE
高橋直記(たかはし・なおき)
長井市生まれ。東京の広告プロダクション勤務後、UターンしCGデザイナーとして独立。仲間と出資 し企画会社設立。その後、日本・アルカディア・ネットワークに入社。柔軟な発想力で、地域と人との接点を増やす取り組みを進めている。