OMIKIプロジェクト02

水と空気と人が
一体となって
生み出される

置賜地方の神社と日本酒、
そしてアートが出会う
⟨OMIKIプロジェクト⟩。
長井市では、長沼合名会社と
イラストレーター大友昇平氏が、
共に至高の一本を創り上げた。


チャレンジ精神を受け継いだ
若夫婦の理想への追求

12代続いている長沼惣右衛そうえもん家は、呉服商や養蚕業などを生業としてきた商家である。大正5年、10代目惣右衛門から酒造りが始まるのだが、きっかけは、当時、長井町に造り酒屋がなく、莫大な費用をかけて仕入れていたことに疑問を持ち、それまで経験がなかったのにも関わらず、酒造りを始めたことにある。

現在、その精神と酒造りを引き継いでいるのが、長沼伸行さんと真知子さん。2人が目指すのは、先代から引き継いだものよりも綺麗なお酒、美味しい食事と一緒に楽しめる、料理の邪魔をしないお酒を造るということだ。

そんな理想とする酒造りに、この長井の地は適しているという。「長井の地下から湧き出る水は超軟水で、臭みや癖がなく、とても柔らかい。だから、仕込んだ酒は優しくなるんです」と語る伸行さん。「酒造りにとって水は欠かせないもの。その仕込水を手に入れるために、蔵によっては、わざわざ山に汲みに行っているというのに、ここでは蛇口を捻るだけで溢れ出てくる。こんなにも贅沢なことはない」と語る真知子さん。恵まれた環境への感謝を常に持ち、丁寧な仕事を徹底して行っている。

神様の元へ感謝の気持ちを

「酒造りは、自分たちだけではできません。土地が豊かなこと、水が豊富なこと、それらがあるから米を育てることができる。そして、米を育てるためには人がいなければいけない。自然と人が一体となることで、ようやく私達が酒造りをすることができる」そう語る真知子さんは、四方を山に囲まれたこの地で、夕陽が沈み四季で色が変わる山の様子を見る度に、自分たちは自然の中で生かされていると実感するとのことで、だからこそ、下手な仕事はできないと、いつも気を引き締めているのだそうだ。長沼さんご夫婦の言葉で、特に印象に残ったのは、「綺麗な酒を造りたい」ということ。口当たりがいい、飲みやすい、切れがある、日本酒の美味しさを表す言葉はたくさんあるが、「綺麗」と表現された2人の根底にあるのは、まさしく、土地の恵みや携わってくれている人達への感謝である。

最後に、「元々、お酒は神様のためにあったもので、自然の恵みへの感謝を形にしたものでした。⟨OMIKIプロジェクト⟩を通して、そのことを思い返すきっかけになってくれれば嬉しいです」と口にした。

SHOHEI
 OTOMO 
Interview

長井を訪れたきっかけは?

知り合いに誘われてなんですが、それまで、長井市のことは全然知らなくて、きっかけが無い限りは訪れることはなかったですね。

仕事柄、海外を転々としていて、どこの国も楽しいんですけど個人的には、食や温泉が好きなので、日本に帰ってきた時には息抜きに求めちゃうんですよ。そうしたら、ここ(長井)は、食が豊かで、温泉があって、四季の変化に富んでいる。日本の全てを味わえる場所だなって、来て思いましたね。

訪れてみての印象は?

食べることが好きなので、長井で色んなものをご馳走になっているんですけど、全部が美味しい。それに、食と酒が合うなって思います。同じ土地のものだからマッチングするんでしょうね。その土地で取れた野菜を料理して、その土地で作られた日本酒で頂く、こんなに豊かで贅沢なことってないですよ。

やっぱり日本人だから、土の上に生きていることがしっくりくる生き物なんですよね。土地の野菜を食べて、お酒を飲むだけで、それまで抑圧していた内に向かうベクトルが、大地に溶けていって、土地と一体化していく、そんな感覚を味わえるんですよ。

日本酒のラベルを描くにあたって、どんなところを見て回りましたか?

長沼さんの酒造りの現場を見学させてもらいました。もう、ただただ緊張感が半端なかったですね。少し肌寒い中、張り詰めていて、本当に真剣味が伝わってきました。きっと、一代じゃなく、代々続いているからなんでしょうね。背負っているもの、厚みが違うなって感じました。

それに、日本酒って、米と水といったシンプルなもので出来ているじゃないですか。それを極めるって宇宙ですよ。本当に、多くのことを学ばさせてもらいました。何か、自分ももっとやろうと思えば、もっとできるんじゃないかって教えてもらいましたね。

ラベルのデザインは、どうして黒獅子を?

長井を訪れる前は、色々と考えていました。縄文をモチーフにしようかとか、銭湯の壁画のようなものとか。ただ、2年前からお邪魔するようになって、長井で過ごす内に、自然と黒獅子になっていきましたね。

自分の中でも、絵を描くスタイルが変わってきて、若い頃は、ただひたすらに、下描きもせずに思いつくまま描いていたんですけど、最近は、考えを巡らすことに多くの時間を割くよう変わってきたんですよ。色んなアイデアを何個もストックして、何年も温めて置いたりするんですが、それらが繋がる時があるんです。長井に来た時も、自分のアイデアと発見したことが段々と繋がっていって、方向性がフォーカスされて、気づいたら「黒獅子を描く」ってなっていましたね。

黒獅子の印象は?

そもそも、獅子のイメージは初売りのセールの時に現れる赤色の獅子でしたから、長井の總宮神社で最古の獅子頭を見た時、それまでの概念が覆るほどの衝撃を受けましたね。目が真っ赤の獅子を前にして、強さに圧倒されたというか、恐れを抱いたというか、高次的で人間の遥か上の存在に見透かされている感覚でしたね。

ここで、脈々と受け継がれているんだ、深さが、重みが違うなって思いましたよ。それが、長沼さんの酒造りや長井で出会った人達と自然と繋がっていったんですよね。

長井に期待することは?

部外者の自分が言える立場ではないですが、このままで十分だと思います。

多くの人が来て、長井の良さを知ってもらいたいですけど変に観光地化するのは止めて欲しいですよね。色々な国に行きましたけど、のぼりやお土産品が乱立しているのは、確かに賑やかで楽しいかもしれないけど、作為的なところに興ざめしてしまうんですよね。

そうじゃなくて、この土地が持っているもの。長井には、昔の日本の里山の風景だったり、古い建物だったり、食べ物やお酒と本当に良いものがあります。それが最高なので大事にして欲しいです。

Shohei Otomo / 大友昇平

1980 年東京生まれ。美術大学で油絵を学ぶが日本の美術界の在り方に疑問を感じ、画材ではなく文房具であるボールペンを主なツールとしてイラストを描き始める。CarharttやSONY、Nike、adidas、Google 等、国内外のさまざまな企業とのコラボレーションをする傍ら制作したオリジナル作品を世界各国の展示会で発表する。現在は神奈川県とメルボルンに拠点を移し作品を制作している。

INSTAGRAM: shohei_otomo 
http://www.shoheiotomo.com/

OMIKIプロジェクトについて

やまがたアルカディア観光局では、東洋のアルカディアと呼ばれる当地域のお土産開発プロジェクトの一環として、日本独自の文化である日本酒を通して世界に当地域を発信すべく、当地域の酒蔵と世界的に著名なグラフィックアーティストがタッグを組み、地域の神社に酒造りの成功をご祈祷していただいた上で、オリジナルの日本酒を開発。観光局のお土産として販売する「OMIKIプロジェクト」を進め、世界に「SAKE」のハイブランドとして「OMIKI」を販売・展開・プロモーションしていくプロジェクトです。

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